雙六手引抄5

№5  (←クリックすると底本画像が表示されます)

●●●●●●x______ 
●●●●●●x______ 
___●_●x______ 
______x______ 
______x______ 
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1 
______x______ 
______x______ 
○_○___x______ 
○_○○○○x_○____ 
○○○○○○x_○____ 
内                外 

重五(てつく) 五(ぐ)二 五三をは 六ぢを 
あけへし かやうすれは 
           二ぢのは 
           あたら 
           ぬなり 
           よく心 
           ゑべし

[解説]

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№5 解答図 

●●●●●●x______ 
●●●●●●x______ 
___●_●x______ 
______x______ 
______x______ 
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1 
○_____x______ 
○_____x______ 
○_○___x______ 
○_○○○_x_○____ 
○○○○○_x_○____ 
内                外 
手石● 
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 №5 参考図 

●●●●●●x______ 
●●●●●●x______ 
___●_●x______ 
______x______ 
______x______ 
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1 
__○___x______ 
__○___x______ 
○_○___x______ 
○_○○○○x______ 
○○○○○○x______ 
内                外 
手石● 
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 題意は、「一見全てインナーに入れる参考図がよさそうだが、こうすると2絡みの11通りで撃たれる。
解答図のように敢えて6ポイントを開けると、62で打たれなくなるので、9通りになるから少し安全だ。」ということであろう。
確かに少しでも安全な方がいいし、6で出た場合はそれをまた拾える目もありそうだ。よく心得るべしである。
だがこの問題が我々にとって真に重要なのは、ルール上の諸問題についてである。

 まず興味を引くのは「入り勝ち」ではないということである。『雙六獨稽古』によれば、№5参考図のようにすれば、勝ちなはずである。
だがそれを採らないというのは、「入り勝ち」がないか、「入り勝ち」に何か条件があるかである。
素直に取れば、参考図のようにして勝ちでないというのは、ベアリングオフが必要ということであろう。
17世紀段階では、盤双六はよりバックギャモンに近いルールであったことが想定される。 
 次に興味深いのは、「使える目は全て使わなければならない」という、現在のバックギャモンにもあるルールが、この時代にもあったということだ。
6ポイントをあけるという事は62を振った時、6で出なければならないということである。「2で出て6を捨てる」ことが禁止されているということである。 
 もう一つ、蒸し勝ちに関する疑問がある。参考図のようにすると、リターンヒットがなくその後11、12、13を振れば蒸せる。
もし蒸すと2倍なら、リターンヒットの目を2つ減らすより、5通りの2倍勝ちを残した方が期待値がよいように思える。
解答図のようにしてしまうと、蒸し勝ちは相当薄い。するとこの解答の示唆するところは、蒸し勝ち二倍ルールもなかったのではないかということではないだろうか。
とは言えここはかなり微妙なところではある。


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