第3回 パリティ

パリティは、1990年3月24日水曜日の昼ごろに、ふと思いついたゲームである。 

 3人以上8人ぐらいまで。4~6人が面白い。 

 カードは通常のトランプ1パック、52枚を使う。 
 手札は、3人なら17枚、4人なら13枚、5人なら10枚、6人なら8枚、7人なら7枚、8人なら6枚。余ったカードは、
表にして全員に見せておき、そのディールでは使わない。 
 ディーラーの隣がオープニングリード。ノートランプの通常のトリックテイキングプレー。 
 採点は各自の獲得トリック数によって、行う。7人の場合を例に挙げるが、手札が偶数枚(5人、6人、8人)のときは+-を逆にする。
つまり全トリック取ったらマイナス点になる。 

取ったトリック数    点数 
  0トリック・・・・・・・ 0点 
  1トリック・・・・・・・-1点 
  2トリック・・・・・・・+2点 
  3トリック・・・・・・・-3点 
  4トリック・・・・・・・+4点 
  5トリック・・・・・・・-5点 
  6トリック・・・・・・・+6点 
  7トリック・・・・・・・-7点 

 これをディーラーを順に左隣へ変えて人数分ディールやり、合計点で順位をつける。


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パリティ

 パリティを紹介します。
 説明が面倒なので、今後、読み手は「トリックテーキング」とか「マストフォロー」(フォローの義務)ということは理解しているとして、
説明することにします。分からない人は質問してください。

 トランプ一組を使います。
 人数は3人から7人ぐらいまでできますが、ここでは4人として説明します。4~6人が一番面白いと思います。
 まず最初のディーラーを決めます。以後ディーラーはディールごとに左隣へ移り、1周したら1ゲームです。
つまり4人なら4ディールで終了し、得点合計の最も多い人が、最終的な勝者となります。

 ディーラーは全部のカードを配ります。4人なら13枚ずつですが、他の人数のときはできるだけ均等に配って、あまったカードは公開します。
 ディーラーの左隣が最初のリードをして、4人なら13トリックの普通のトリックテイキングプレーをします。切り札はありません。

 採点は、以下のようになります。
  0トリック取った・・・±0点
  1トリック取った・・・-1点
  2トリック取った・・・+2点
  3トリック取った・・・-3点
  4トリック取った・・・+4点
  5トリック取った・・・-5点
  6トリック取った・・・+6点
  7トリック取った・・・-7点
  8トリック取った・・・+8点
  9トリック取った・・・-9点
  10トリック取った・・・+10点
  11トリック取った・・・-11点
  12トリック取った・・・+12点
  13トリック取った・・・-13点

 要するに偶数トリックとればそれだけプラス、奇数トリック取ればそれだけマイナスになるという仕組みです。

パリティは1990年3月21日水曜日の昼ごろ思いつきました。
 発想のもとは、オーヘルです。オーヘルはジャングルブリッジとか、ブラックアウトとか、オーショウ、オーウェルなどと呼ばれるフェアリーゲームの元祖です。
このゲームは、デビット・パーラットによると、1937年にゲーム研究科のジョフリー・モットスミスによって考案されたそうです。
 市販のカードゲームに「ゴー・フォー・ザ゛ゴールド」「金メダルへの道」というのがあって、「オリンピックゲーム」などと通称されています。
これの元になったのがオーヘルと思われます。要は、トリックテイキングなのですが、配られた段階で獲得するトリック数を予告し、
正確にそのとおり取ることが目的となります。このゲームの良いところは、良い手とか悪い手というものがないことで、AやKに恵まれた手なら多く、
2や3ばかりの手なら少なく予告すればいいのです。もっとも予告しやすい手と、しにくい手とが存在するのは確かですが。
 パーラットのナインティナインは、この予告を暗号にした改良がメインのアイディアの一つになっています。
もちろん、この名作ゲームはそれだけのアイディアにはとどまりませんが。
 ところがオーヘルは、一度失敗してしまうと取り返すすべがありません。13中3と予告して、4トリック取った瞬間にもうやることがなくなります。
そこで目的を多様化できないか、と考えたところで偶数・奇数で得点をプラスとマイナスと交互にするアイディアが浮かびました。
と同時にパリティというネーミングも浮かびました。いやむしろネーミングが先で、それから発想したルールかも知れません。
 パリティとは偶奇性ということです。正三角形は鏡に写しても正三角形です。これを「パリティが偶」と言います。
直角三角形は鏡に写すと左右が反転します。これを「パリティが奇」といいます。直角三角形を鏡に写したのをまた鏡に写すと、元の直角三角形に戻ります。
もし鏡を奇数枚ならべれば裏返し、偶数枚ならべれば表返しになります。これをプラス・マイナスに対応させれば、ゲームは完成です。
つまり、「パリティが奇なゲーム」を創ったのですね。
 出来上がったゲームは大変評判の良いものでした。トリックを取れば取るほど、ハイリスク・ハイリターンになってドキドキします。
互いの取るトリックが相互に影響しあって、不思議な因果関係を作ります。意地悪もできますが、その関係は直接的ではありません。名作のような気が、自分ではしています。

(ゲームフォーラム@nifty:草場純さんの発言ログより転載)

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