ヤポンブランド

ゲームマーケットも、ニフティサーブでのちょっとした発言がきっかけの「瓢箪から駒」であったが、ヤポンブランドもまた、ミクシィでの「瓢箪から駒」であった。案外、物事の「起源」とは、そんなものなのかも知れない。

ドイツのボードゲームをやるたびに、そうしたものを作り出す文化の背景に思いが行った。ゲームのシステムやコンポーネントがよくできていればいるほど、文化の「創造」をそこに感じたのである。それが英米ではなく、「ドイツ」であるところに、一層面白さを感じた。

初めは、ボードゲームの楽しさを回りに広めるところから始めた。当時「ゲームは感染力の弱い頑固な病気」と分析したが、それは今も妥当している。広めるのは、一定の時間や準備が要り、ゲームは不要・不急の代表のような側面があるから、こちらが躍起になってもなかなか広まらない。現在でも、WさんやYさんの苦労を思うと、頭が下がる。

と思うと一方で、一度ゲームの面白さに取り付かれると病膏肓、不治の保菌者となってしまう。あまりそうなってほしくないが、遺伝子の一部が変化して、突然の大流行だってありうる。

ともあれ、30年を経て、ゲームの愛好者は確実に増え、現在では土日はゲーム会がバッティングして、行き所に困るほどである。だが、残念ながらゲームの輸入超過の方は、30年前以上とも言える現状なのである。

電源ゲームこそ、文化の輸出国になったようだが、非電源ゲームは、日本は未だに文化の消費国でしかない。

黒船以来、いや遣隋使依頼、いやいや仏教伝来以来、いやいやいや稲作伝来以来(?)、日本の舶来信仰は国是であった。日本の文化人は翻訳者であり、日本の支配者は洋行帰りであった。これはある意味仕方がない。文化は水のごとく、高い方から低い方へ流れる自然現象の側面があるからだ。だが、情けないとも言えるではないか。日本発の文化が流れ広がってこそ、文化の創造の証ではないか。

そして文化は、水の流れのような物理現象と違って、自らの気概で高めることのできる側面がある。必要なのは「やる気」であるという側面が確かにあるのだ。

これはゲームだけにはとどまらない。西欧近代文化絶対主義は、未だに克服されきってはいない。

これに対抗できるのは、世界普遍文化相対主義である。日本発の文化が世界を制覇しないでも(それでは別の覇権主義だ)、多くの文化の一つとして客観的に評価され、世界の人々を楽しませることができたのなら、そのとき初めて漱石の苦悩した西欧近代の超克が成ったと言えるのではないか。そうなった暁には、これがドイツのゲーム、これはアメリカのゲーム、これはフランス、これは韓国、これは日本というようなことのない、「よいゲーム」か「つまらないゲーム」かだけが問題になる、国籍を超えた普遍文化になるに違いない。

そして逆説的にはなるが、その第一歩として日本をエッセンに売り出したらどうだろうか。

まだ見ぬエッセンは、ゲーム世界のメッカの一つであると私は思っている。いずれは行ってみたいとは思っていたが、仕事柄不可能であった。しかし思いがけず昨年退職し、それが可能になった。あまり考えたくないが、将来失明したりすれば、その後には期待できない。ということで、いい機会なので、今年の10月下旬、初のエッセン詣でに行くことにした。

と、ここまでは至極個人的な話であった。

ここから先が「瓢箪から駒」なのであるが、どうせ行くなら、ブースを出して日本を売り込んだらどうだ、という話になった。そう発想したわけはまず、上に述べたような私の思いがあること、そして何より、日本オリジナルのよいゲームが創られ始めたことがある。何人かの才能のある日本のデザイナーの作品は、世界を超えたとは言わないが、既に十分世界の水準に達している。だが「極東」の「島国」に閉じこもっている限りは、それは世界には伝わらない。小さな最低サイズのブースでいいから借りて、「日本のブランド」として売り出すことができたら、ほんのちいさな一石だが、人類文化の流れに投じることになるのではないだろうか。

思いはかくのごとく気宇壮大だが、話は瓢箪から駒である。たけるべさんとのコメントやメッセージのやり取りという瓢箪から、それは飛び出した。「ヤポンブランド」といういい加減な命名からもそれは伺われる。

ドイツ語ならヤーパンだろう。日本語なら、ニッポンあるいはニホンだろう。英語だったらジャパンか。ヤポンはラテン語系か? ブランドは英語だろうから「ヤポンブランド」では国籍不明である。だが、そこがいいのである。日本にして日本を越え、世界の普遍をともに築く。文化はまさしく気概であり、意志であり、やる気である。

とまあ、でかいことを書いたが、眼高手低、実際は大変だ。渡航費用や宿泊費、ブースの賃貸料などが全て自前なのは当然としても、どうやってゲームを運ぶんだ、ゲームの解説はどうするのか、インストをドイツ語あるいは英語でできるのか、ルールの翻訳は、海外から注文があったら、どう対応するんだ、などなどなど。

そこで、広く皆さんの協力を仰ぎたい。みなさんの「やる気」を集結して、困難を乗り越えたいのである。

ある意味、今年はテストである。もうブースは借り、カタログも準備中である。どうなるかは出たとこ勝負の感が否めない。だか、これがうまく行けば、いやうまくいかなければ反省を踏まえて来年は、もっと広範な協力と体制で、エッセンへ打って出られるに違いない。

多くの人々の支持と、協力と、生産的意見を仰ぎたい。

 

(2006年09月05日mixi日記より)

 

 

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