夢中になるトランプの本
夢中になるトランプの本
昨日、主婦の友社から拙著『夢中になるトランプの本』が出版された。¥1100. ISBN978-4-07-258336-4
弟から主婦の友社からのメールが転送されてきたのが、8月初めだったと思う。編集の人になかよし村へ来てもらい、ライヤーズダイス大会にも参加してもらった。その後正式に依頼を受け、原稿を書いた。
出版社からの注文は、
①ゲームは7割で、一人遊び・手品・占いなどトランプを使ったほかの楽しみを1割ずつ入れたい。
②ババ抜き、七並べ、神経衰弱といった初歩のゲームも入れたい。
③写真を多く入れ、イラストで説明するようなビジュアルなものにしたい。
ということであった。
それぞれ尤もな面もあるが、なかなか困難だった。私は次のように回答した。
①私はゲームと一人遊び(ソリテア)は書けるが、手品は書けないし、占いはそもそも否定論者である。
②世の中に、ババ抜きを本で覚えようという人はいないだろう。神経衰弱のルールを忘れたので、本で調べようなんて人もいないだろう。
③私はコレクターではないので、写真としていいものはあまり提供できない。イラストは全く描けない。
それに対しては、
①手品や占いはぜひ入れたい。書けないなら書ける人を紹介して欲しい。
②それでもこれらのゲームは落とせない。
③では写真を提供できる人を紹介して欲しい。イラストレーターは、もちろんプロを別に依頼している。
とのことであった。
私はそこでゲームを50ほど選定してタイトルを伝えた。
すると、紙数に限りがあるし、人数別に編集したいということなので、取捨選択して40ほどにまとめた。
その段階で原稿を書いた。原稿は一週間ほどで書いた。しかしそれからが大変だった。
一方、占いは占い師の純銀桜子さん、手品はパズル懇話会のAさん、トランプの写真はコレクターのYさんを頼んだ。またポーカーの日本大会の話をしたらそれも入れたいと言うので、ポーカー侍さんを紹介した。カードのシャッフル・カット・ディールなどの写真については、ポーカー侍さんから更にプロのディーラーのSさんを紹介してもらった。
純銀さんは原稿を書いてくれたが、Aさんの場合は手品の実演をビデオに撮り、それから編集者が書いたらしい。またコレクターのYさんとは、条件面で折り合いがつかず、私はトランプの写真をleraさんに頼んだ。leraさんは、快く引き受けてくれた。
一番の難物はイラストで、私はイラストレーターにゲームをやってもらって描いてもらえばいいと思ったが、そうもいかないらしく、私が編集者に教え、編集者がイラストレーターに指示するという隔靴掻痒方式で作業を進めた。私はそういう想定では原稿を書いていなかったので、上がったイラストに文章をあわせたり、イラストの細かい点を指示しなおしたりと、結局原稿は半分以上書き変えることになった。その後の校正も大変だった。
しかし、編集の人は誠実に、倦まず弛まず仕事をしてくれた。章立て、人数別表示、難易度・能力・分類表示、カードの持ち方、勝つコツ、ひとことコラムなどは、全て編集者のアイディアである。もちろん中身は私だが。
苦労はしたがそれなりの内容のものができたと、私は納得している。オールカラーの素敵な本ができた。ただ惜しむらくはちょっと紙が良すぎて本がすぐ閉じてしまう。読む本ならそれでもいいだろうが、この本のように、辞書とまでは言わないが、傍らに置いて参照したい本は、開きっぱなしになった方がありがたい。かえって、紙質を落として千円で販売できたら良かったのにと思うが、それはまあ後知恵ではある。
本のタイトルも、当初『トランプ大全』としたいと言うので、「大全とはおこがましい。パーラットほど書けば別だか。」と意見を言い、結局『夢中になるトランプの本』となった。この題名は私が考えたものではない。しかし、そう悪くもないかも知れない。
ナポレオン、ベリシネベリシ、スカート、クリビッジ、ヤス、ミゼルカ、五百ラム、ノートランプ、ベガーマイネイボー、ルトゥルックなど、原稿は書いたが割愛せざるを得なかったものもたくさんあった。
ナポレオンはぜひ入れたかったが、あまりにルールのバリエーションが多すぎて、取捨のしようがなく、割愛した。
スカートは難しすぎて入れられなかった。
ベリシネベリシもぜひ入れたかったが、入りきれなかった。それ以外も紙幅の関係で、結局入らなかった。
これらのゲームについては、私のトランプの師、赤桐裕二さんが、いずれグランペールから本を出すので、そちらを購入して欲しい。
一方、大貧民もバリエーションはいくらでもあるが、どうしても落とせないというので、あえて最も単純化した基本的なルールだけにした。
ページワンも、現在はエイト(ウノ)同様のゲームと認識されている向きがあるが、敢えてオールドファッションのルールにした。もっともこのゲーム、あまり面白いとは、私も思っていないのだが。(笑)
41は、同名の違うゲームがたくさんあるが、二人用の簡単なゲームと言われたので、このクリビッジの簡易ゲームを入れた。超お薦めとはとても言えないが、足し算ができれば小さい子供でもできるのがいい。
結局30余りのゲームと、一人遊びを3つ載せた。ゲームの四分の三は、ぜひやってみて欲しいものばかりである。
後書きにも断りは入れたが、ここでのルールは、かなり私の作為が入っている。しかし、カードゲームのルールは相対的なものであると思う。コントラクト・ブリッジのように組織があってルールを管理しているものは別として、どれが正式なルールかは微妙な問題を含んでいる。とは言え、どことは断らずに私の改変が入っているので、より「正式」のルールを知りたければ、ゲームファームのサイトを見るか、上記の赤桐さんの本が出版されるのを待って欲しい。また私の改変については、ここで質問されたら回答する用意はある。
黄色と黄緑の明るい表紙であり、こばーんさんによれば、紀伊国屋には平積みになっていたそうなので、見かけたらぜひ手にとってご覧になって欲しい。
末筆ではあるが(日記に末筆は変か)、編集のSさん、一緒にゲームをしてくれたWさん、Eさん、そのほかの主婦の友社の、特に校正室のみなさん、上記の名前の挙がった皆さん、そして校正、印刷、製本、運送、販売のみなさん、そしてもし読んでくれたり、それでゲームをしてくれたりしたらその全てのみなさん、更に今まで私とトランプゲームをやってくれた全ての皆さんに、感謝を記したい。
なお、誤植その他については、指摘があればここに訂正をあげておいて、再版の時に直したいので、宜しく。
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