雙六手引抄6
№6 (←クリックすると底本画像が表示されます)
○●●●●●x●●____
○●●●●●x●_____
______x______
______x______
______x______
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1
______x______
______x______
______x______
_○○○○○x○_____
●○○○○○x○__○_●
内 外
かた一をは二ぢのいしを
わりて一ぢのはをかけ
よ かた
一とかき
ておろ
させ
かつこと
あるへし
てき二と
六と出
たらは
もとの
義なり
[解説]
№6 解答図 (1の目のみムーヴ)
○●●●●●x●●____
○●●●●●x●_____
______x______
______x______
______x______
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1
______x______
______x______
______x______
__○○○○x○_____
○○○○○○x○__○_●
内 外
手石●
原文:かた一をは二ぢのいしを わりて一ぢのはをかけよ かた一とかきておろさせ かつことあるへし てき二と六と出たらはもとの義なり
直訳:片一をば二地の石を割りて一地の端をかけよ 片一とかきておろさせ 勝つことあるへし。敵二と六と出たらば、もとの義なり。
意訳:1がらみは2ポイントを割って打て。1がらみでリターンヒットされてもまだ勝ちがある。敵に62が出ても元々だ。
№6 参考図① (例えば51を振ったとして)
○●●●●●x●●____
○●●●●●x●_____
______x______
______x______
______x______
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1
______x______
______x______
___○__x______
_○○○○○x○_____
●○○○○○x○____●
内 外
状況はプライムの対決だ。バックギャモンの全くの初心者には意外かもしれないが、少しでもやったことのある人なら、
この場合は遅れている方が(もっと正確には「余裕手のある方が」)むしろ有利であることを知っているはずだ。
すなわち○は今苦しい状況なのだ。参考図のように動かすと、●が普通の目を振っている限り、
プライムが先に壊れるのが○であるのは確実だろう。特に盤雙六はぞろ目は2つだけ動かすのだから、
ほとんど逆転はなさそうだ。つまり参考図のようにするのは、自分の敗北を確実にするだけのプレーであるわけだ。
そこで、解答図のように、ブロットを出しても打てという訳だ。
№6 参考図② (白51→黒62の例)
手石○
○●●●●●x●●____
○●●●●●x●_____
______x______
______x______
______x______
1 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2 1
______x______
______x______
____○_x______
__○○○○x○_____
○_○○○○x○●___●
内 外
これは解答例に対して相手が最も良い目を振った場合で、ミニマックス的解析としては妥当な想定である。
この場合 敗色濃厚だが、この場合ですら「もとの義」(もともと)だと言っていて、確かにその通りである。
入り勝ちルールならこれで負けは確定だが、ベアリングオフが必要なら、まだ白に逆転のチャンスがないわけではない。
白にとってよい要素はギャモン(というルール)がないということで、その場合 今打たれた3つ目のバックマンは、
むしろ逆転ヒットの可能性を増している。逆に黒にとってよい要素は、ダブレットによるクラッシュがあまりないという点で、
注意深くやれば相手にヒットチャンスを与えることは少ない。また最後の数個で打たれてもあまり負けることはないだろう。
結論からすると、この問題はよい問題であり、解説も妥当だと言える。今から337年前の技量はそれなりのものだったと言えそうである。
17世紀の海外のバックギャモンの解説書にどの程度のものがあったのか、識者の見解を伺いたい。